1Fの構内では「フェーシング」と呼よばれる舗装ほそう工事が進んでいます。フェーシングは、放射性ほうしゃせい物質の広がりを防ぐ、地元の復興や1F構内の廃炉はいろ作業を進めるうえで大事な仕事です。今回は、そのフェーシングを担当たんとうしている前枝建設の三浦大典さんにお話をうかがいました。

フェーシング工事とはどういうものなのですか。

好きな仕事をして感謝されるのは幸せ

東日本大震災だいしんさいで大きな被害ひがいを受けた南三陸町のご出身と聞きました。

　はい。実家が津波つなみで流されてしまい、当時勤つとめていた道路工事の会社もなくなってしまいました。私自身はそのとき仙台せんだいで仕事をしていたのですが、地元に戻もどっても何の手助けもできそうにありませんでした。まずは、自分の住んでいる仙台せんだいの復興に力を貸したいと考えたのです。

　ちょうど、前枝建設が復興工事のために東北支社をつくり、道づくりをする社員を募集ぼしゅうしていると聞き、何かの役に立てればと思って就職しゅうしょくしました。

　母は南三陸町の仮設住宅じゅうたくで独り暮ぐらしですが、「私のことは心配しないで頑張がんばってこい」と言ってくれました。

大阪に本社がある会社なんですね。

　社長は1985年の阪神淡路大震災はんしんあわじだいしんさいで被害ひがいを受け、自分たちの力で復興しようという気持ちで会社を設立したと聞いています。そんなことから、東日本大震災だいしんさいで大きな被害ひがいを受けた地域ちいきに、何か貢献こうけんができないかと考えて東北支店を立ち上げたのだそうです。

　社長は、「復興を考えない社員はいらない」とまで公言しているほどですから、社員はみな復興に強い気持ちを持っています。東北支社に勤つとめる社員は30名。うち、6、7割わりが関西出身で、残りの大半は私を含ふくめて東北出身者です。

　関西と東北では、性格や気質がずいぶん違ちがうところもありますが、てきぱきと明るく物事を進める関西のやり方と、腰こしを据すえて地道に仕事をする東北のやり方が、うまく融合ゆうごうしていい雰囲気ふんいきの会社です。

どういうことにやりがいを感じますか。

家族的な雰囲気ふんいきとよい緊張感きんちょうかんがある職場

ずっと屋外での仕事なので大変ではありませんか。

　夏場の熱中症対策ねっちゅうしょうたいさくには気を使っています。去年までは全面マスクを着けて作業をしていたので、さすがに肉体的にきつかったですね。クーラーで体を冷やしたり、クールベストを着けたりということはもちろん、生活のリズムを守ることを心がけました。夏に限らず睡眠すいみん時間は重要ですから、夜遊びもしないで毎日必ず6時間から7時間は寝ねるようにしています。

　しかも、自宅じたくや支店がある仙台せんだいから1Fまで車で1時間半以上かかりますから、お弁当をつくって6時のミーティングに間に合うようにするには、朝の3時ごろに起きなくてはなりません。普通ふつうの仕事をしている友人とは時間がずれてしまい、なかなか会えないのは残念ですが、これが仕事ですからつらいと思ったことはありません。

若わかい職長として年上の方々とどう接していらっしゃいますか。

　家族的でいい雰囲気ふんいきの会社ですが、仕事の場では職長として妥協だきょうするわけにはいきません。班はんのメンバーは私より年上の人がほとんどなのですが、気兼きがねすることなく、はっきりと指示するように心がけています。

　ただ、ちょっと言い過ぎたかなと思ったときは、仕事が終わってからコーヒーをおごったりして、気まずくならないように気を使うことはありますね。

　1Fでの仕事の特徴とくちょうは、安全に非常に気を使っていることにあると思います。私を含ふくめ、作業員一人ひとりがそれを肌はだで感じているので、ほかの現場とは違ちがった、よい意味での緊張感きんちょうかんがあります。

休日はどう過ごしていますか。

仲間とはどのようなことを話していますか。