1 FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした

1Fを守る仲間たち

丸山 昭一郎さん 斉藤 裕二さん、金森 啓輔さん、藤本 信幸さん、佐々木 忠さん

2016年12月13日

INTERVIEW 20 廃炉(はいろ)という共通の目標が多企業間の信頼(しんらい)関係を深めています

丸山 昭一郎さん 丸山まるやま 昭一郎しょういちろうさん
株式会社東京鐵骨橋梁とうきょうてっこつきょうりょう
班長
斉藤 裕二さん 斉藤さいとう 裕二ゆうじさん
大崎建設株式会社
班長
金森 啓輔さん 金森かなもり 啓輔けいすけさん
有限会社イースト・コーポレーション
班長
藤本 信幸さん 藤本ふじもと 信幸のぶゆきさん
株式会社エスシー・マシーナリ
クレーンオペレーター
佐々木 忠さん 佐々木ささき ただしさん
有限会社飯島組
工事部長

 1号機の使用み燃料取り出しに向け、放射性ほうしゃせい物質飛散防止のために原子炉建屋げんしろたてやに取り付けていたカバーの解体と、周辺のがれき撤去てっきょ作業を進めています。カバー解体作業を行う建築工事共同企業体(JV)において、協力企業として作業を手がける5社(清水建設・鹿島建設・竹中工務店・前田建設工業・安藤ハザマ)のみなさんにお話をうかがいました。
(カバーの解体作業はインタビュー後の2016年11月に終了しゅうりょう)

1Fでのお仕事について教えてください。

1号機建屋カバーの壁パネル取り外しに携わったメンバー1号機建屋カバーのかべパネル取り外しにたずさわったメンバー

丸山さん:

 放射性ほうしゃせい物質の飛散を防ぐため1号機原子炉建屋げんしろたてやに取り付けられているカバーの解体と、周囲のがれきの撤去てっきょが私たちの仕事です。線量が高く、容易に近づけない場所で機械の遠隔操作えんかくそうさやクレーン操作そうさ、内部のカメラによる調査など、各協力会社がそれぞれ専門せんもんの業務をにないながら、力を合わせて解体や撤去てっきょ作業を進めます。その中で私は、鳶工とびこうとして1号機のカバー解体にたずさわっています。

さまざまな仕事があるのですね。

佐々木さん:

そうですね。建屋やがれきの内部は人が容易に近づけない状況じょうきょうですが、私は遠隔操作えんかくそうさのカメラでがれきの中を見て、内部がどうなっているかを調査する仕事をしています。私たちが調査したデータをもとに、JV担当者や東京電力担当者と話をして、今後の作業方針ほうしんを決めていきます。

金森さん:

1号機の近くにあるCC操作室そうさしつの運営管理をしています。CC操作室そうさしつは、1号機の作業をするための前線基地です。CC操作室そうさしつができた翌月の2011年7月からずっと同じところで仕事をしています。震災しんさい当初、作業員は外部から防護服を着込きこんで入っていかなければいけませんでしたが、服をいだり着たりは簡単かんたんにできませんから、トイレに行くサポートも私がしていました。

円滑えんかつに進む協力企業間のコミュニケーション

コミュニケーションはうまくいっていますか。

藤本さん:

私は800トンりのクローラークレーンオペレーターですが、ひとりでできる仕事ではなく、ほかの作業をする方々とのコミュニケーションが必須ひっすです。企業も仕事もみんなちがうわけですが、日頃ひごろから話をよくしていますね。ですからコミュニケーション自体はよくできていると思います。

ゴルフ交流

斉藤さん:

昼も夜もコミュニケーションをよく取っていますね。休みの日は一緒いっしょにゴルフに行ったり、交流を深める機会もたくさんあります。私は遠隔操作えんかくそうさの無線操縦そうじゅうで、建屋のコンクリート破片はへん鉄筋てっきんを取りのぞく作業を行っているのですが、目視もくしできない場所で画面を見ながらの作業なので、藤本さんのようにクレーンを動かす方と連携れんけいしなければ仕事ができません。逆に言えば、日頃ひごろからコミュニケーションを取っているので、うまくできているのだと思います。

金森さん:

まっているところも食事・風呂ふろ一緒いっしょですから、日常的にコミュニケーションを取りやすい環境かんきょうですね。協力企業だけでなく清水建設の社員のみなさんも一緒いっしょです。まとまって出かける機会も自然と多くなります。

佐々木さん:

金森さんには飲み会などでよくコミュニケーションを取ったりしていますね。私の場合は、他社の方と出かけたり食事をしたりもそうですが、自社の社員とも月1回ボウリング大会を開催かいさいしたりなど、スタッフと共に行動することが多いですね。大会以外でも個人的にボウリングやゴルフにはよく行きます。

仕事のうえで工夫していることはありますか。
スタッフ

丸山さん:

 段取だんどりですね。作業に必要な段取だんどりをあらかじめ行っています。カバーひとつ外すにしてもさまざまな段取だんどりがあり、それを当日になってあれがないこれがないでは話になりませんから、しっかり準備することを心がけていますね。
現場は企業をえて意見を言いやすい雰囲気ふんいきだと思います。藤本さんをはじめ5年前から一緒いっしょに仕事をしている人が多いですし。本社スタッフ、JV担当者が働きやすい環境をつくってくれていることも大きいと思います。

藤本さん:

 私は丸山さんや斉藤さんと一緒いっしょに作業をすることが多いのですが、丸山さんの言うように、前日も当日も綿密めんみつに打ち合わせをしてから仕事にのぞんでいます。私は、かゆいところに手がとどくように、二人が「こういうことがしたいだろうな」とイメージしてそれとちがう場合は、その都度おたがいに確認かくにんしながら作業をしています。それにはやっぱり、り返しになりますがコミュニケーションが大事。相手の立場で考えれば、仕事がスムーズに進んでいきます。

斉藤さん:

 藤本さんたちクレーンのオペレーターとは、実物の距離感きょりかんについてよく話し合っていますね。それぞれ見える視点してんがちがうので、自分以外の視点してんも参考にして判断したうえで機械を動かす必要があるからです。作業前はもちろん、作業中にも一つひとつ意見を聞いて確認かくにんしています。一人では到底とうていできない仕事で、ほかの人たちと協力するのが大前提ですね。

金森さん:

 私は、CC操作室そうさしつの運営管理をになう立場として、作業員たちが働く環境かんきょうづくりに力を入れています。いまは構内の線量も落ちましたが、当初は高かったので、CC操作室そうさしつの内部が汚染おせんされないように気を使いました。みんなも協力的に取り組んでくれているので、うまくいっていると思います。

安全・安心な作業環境かんきょうで意識を高め合う毎日

いま1Fで働いていてどのように感じますか。

斉藤さん:

 私は今年の春から遠隔操作えんかくそうさをしていますが、それ以前も重機を動かしていました。最初は2、3週間現場を見てくれと言われてきたのですが、まさかこんなに長くいることになるとは思いませんでしたね。やればやるほど深い仕事で、やりがいを感じています。

藤本さん:

 私も最初はクレーンの組み立てサポートで、短期間ということで入ったのですが、クレーンのオペレーターが2人から3人態勢になるということで残ることにしました。当初と比べると、いまは線量も少なくなって、本当に、びっくりするくらい安全な環境かんきょうになったと思います。普段ふだんの現場よりもかえって安全を徹底てっていしている場所ですから、その意味でも働いていて安心ですね。

佐々木さん:

 実際に現場にくると、どの企業もみなさんが廃炉はいろという目標に向けて一体となって仕事をしているので、それが働きやすい環境かんきょうにもつながっていると感じます。よく、みんなで「自分たちは廃炉はいろに向けてがんばっているんだ」と士気を高め合ったりしていますよ。

丸山さん:

 1号機建屋のカバー解体はこの秋で一段落ですが、それは仕事が終わったということではなく、最終的に使用かく燃料取り出しとその先にひかえる廃炉はいろに向けてまだまだ準備作業の段階だんかいです。これからが本番だという意識で、おたがいの信頼しんらい関係を深めながら仕事にのぞんでいきたいと思います。

丸山 昭一郎さん

丸山まるやま 昭一郎しょういちろうさん

千葉県千葉市出身。魚が大好きで、魚を食べに出かけることも多い。休日はゴルフやボウリングに行って体を動かしている

斉藤 裕二さん

斉藤さいとう 裕二ゆうじさん

生まれは東京だが引っして現在の本拠地ほんきょち札幌さっぽろ。好きな食べ物は特上生うに。休みは仲間とゴルフに行く

金森 啓輔さん

金森かなもり 啓輔けいすけさん

神奈川県川崎市出身。川崎の家には毎週ではないがよく帰り、リフレッシュしてまた1Fにもどってくる。魚を食べるのが好き

藤本 信幸さん

藤本ふじもと 信幸のぶゆきさん

大阪府堺市出身。休日はマリンスポーツやゴルフを楽しむ。オペレーターはあまり動かないので、意識して体を動かすようにしている

佐々木 忠さん

佐々木ささき ただしさん

千葉県千葉市出身。魚が大好きで、魚を食べに出かけることも多い。休日はゴルフやボウリングに行って体を動かしている

会社も仕事もことなりますが目標は同じ。各社力を合わせ、コミュニケーションを取って、廃炉はいろに向けて頑張がんばっています。

プロフィール
丸山まるやま 昭一郎しょういちろうさん

千葉県八千代市出身。おさな子供こどもがいるので、休みの日は千葉の家に帰ることも多い。帰らない時は仲間たちとよく焼肉を食べに行く

斉藤さいとう 裕二ゆうじさん

生まれは東京だが引っして現在の本拠地ほんきょち札幌さっぽろ。好きな食べ物は特上生うに。休みは仲間とゴルフに行く

金森かなもり 啓輔けいすけさん

神奈川県川崎市出身。川崎の家には毎週ではないがよく帰り、リフレッシュしてまた1Fにもどってくる。魚を食べるのが好き

藤本ふじもと 信幸のぶゆきさん

大阪府堺市出身。休日はマリンスポーツやゴルフを楽しむ。オペレーターはあまり動かないので、意識して体を動かすようにしている

佐々木ささき ただしさん

千葉県千葉市出身。魚が大好きで、魚を食べに出かけることも多い。休日はゴルフやボウリングに行って体を動かしている

つとめ先

清水・鹿島かじま・竹中・前田・安藤あんどうハザマ建築工事共同企業体(JV)

清水建設・鹿島かじま建設・竹中工務店・前田建設工業・安藤あんどうハザマで構成される。1号機原子炉建屋げんしろたてやのカバー解体やがれき撤去てっきょなどを実施じっし

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